誰かの物語は誰かの視点で
とうとう、試験まで1ヶ月が切った。
今日も同じようにマックへ行く。
勉強してる人、お話ししてる人、スーツ着てる人。
彼らは彼らの物語があって、僕には僕の物語がある。
そんなことを思いながら、今日はマックにいるおじさんがリストラされているのではないかと考えた。
世の中はコロナで景気が傾きつつある。実際に近くの吉野家ももうすぐ終わりを迎える。
毎日同じ時間に来て、朝ごはんを食べ、昼前に帰る。
そんなスーツ姿のおじさんはきっとリストラされているのだ。
他の席では、2人のおばさんが向かい合いながら話している。
話の内容は全く聞こえない。
しかし、きっと生産性のない話をしているに違いない。息子の話、夫の話、物の値段や美容院の話。
きっと、話があるからそこにいるのではなく、話したいからそこにいるのだ。
他の席では、黄緑のtーシャツ、短めの紫の短パン、金髪のおじさんが、若い青年に何かを喋っている。
何を喋っているかはわからない。しかし、火をつけていないたばこを加えながら偉そうにしているのだけは分かった。
きっと彼は薬をやっているに違いない。いや、やっている。そうでなければ、あんな短い短パンをはくわけがない。
他の席では、青年が勉強をしている。彼はいつも朝マックに来て勉強している。そして、1時間も経たない内に何処かへ消える。そんなに少しだけの勉強時間なら、くる必要はないのではないか?そんなこと思いながら、彼は僕の妄想上の友達だ。一緒に勉強頑張ってる。
昨日は若い女性が喋っていた。
声が大きかったので、内容はバッチリ聞こえた。
幼なじみに可愛くなったと褒められたらしい。エピソードがかわいいなぁと思いながら耳を傾けると、男の人の話ばかりしているようだ。
そんな君には「インパチェス」の花言葉をあげよう。意味は「目移りしないで」。
そんな僕も、きっと誰かからは、誰かの視点で物語が描かれているのだと思う。
もしかしたら、凶悪な殺人鬼かもしれないし、戦隊者のヒーローかもしれない。
人の目とは恐ろしい者である。