逢ふことの絶えてしなくはなかなかに人をも身をも恨みざらまし
今日の歌
逢ふことの絶えてしなくはなかなかに人をも身をも恨みざらまし
現代語訳
会うことが絶対無いのなら、かえって、あの人のつれなさも自分の辛さも、恨むことはないのに…
【逢ふこと】
男女の逢瀬のこと
【絶えてしなくては】
「絶えて」は副詞、下に打ち消しの語を補うことで、「絶対に〜しない」という意味。
「し」は強意の間投助詞、間投助詞は文末に置くことで、強意や詠嘆を表す。
「なくては」は反実仮想、現実と違うシチュエーションの時に使う。英語でいうところの「if」
【なかなかに】
かえって、なまじっかという意味。
【人をも身をも】
「も」は並列の係助詞
相手の不実も自分の不幸もという意味になる。
【恨みざらまし】
「ざら」は打ち消しの「ず」の未然形
「まし」は反実仮想
恨むことはしないだろうの意
帰って冷たくされると気になってしまったり、距離が近いと嫌いになったり、世の中の色恋は難しいもである。
この歌のように、古くからクールな人は魅力的に見えるものだったのだろう。
冷たくするならいっそのこと会いもしなければいいのに、今も昔も人の感情は変わることのないものがあるのだろう。
ぜひ、悩んでいる友達がいたら、
逢ふことの絶えてしなくはなかなかに人をも身をも恨みざらまし
なんて詠んであげると粋ではないだろうか?
その時には、今も昔も悩みは一緒だね!なんて添えてあげて欲しい。