心あてに折らばや折らむ初霜の おきまどはせる白菊の花
今日の歌
心あてに折らばや折らむ初霜のおきまどはせる白菊の花
現代語訳
もし手折(たお)るならば、あてずっぽうに折ってみようか。真っ白な初霜が降りて見分けがつかなくなっているのだから、白菊の花と。
意味
【心あてに】
「あて推量に」「あてずっぽうに」などの意味。
【折らばや折らむ】
「折らば」は四段活用動詞「折る」の未然形に接続助詞「ば」がついたもので仮定条件。
「や」は疑問の係助詞。
「む」は意志の助動詞で上の「や」と係り結び。
「もしも折るというなら折ってみようか」という意味。
【初霜】
その年はじめて降りる霜のこと。
【置きまどはせる】
「置く」は、「(霜が)降りる」という意味。
「まどはす」は、「まぎらわしくする」という意味。
白菊の上に白い霜が降りて、白菊と見分けにくくなっている、という意味。
【白菊の花】
上の句の「折らばや」に続く、倒置法。
鑑賞
これは、真冬の歌。
霜が降りて、どの花が白菊なのかもわからない。いっそのことあてずっぽうに追ってみようかと言う、冬の柔らかな情景が浮かぶ。
白菊の花が倒置法になっているため、自然と白菊の花に目がいくようになる表現技法だ。