山川(やまがわ)に風のかけたるしがらみは流れもあへ(え)ぬ紅葉なりけり
今日の歌
山川(やまがわ)に風のかけたるしがらみは流れもあへ(え)ぬ紅葉なりけり
現代語訳
山の中の川に、風が掛けた流れ止めの柵(しがらみ)がある。それは、流れきれないでいる紅葉の集まりだったよ。
ことば
【山川(やまがわ)】
山の中にある川、谷川のこと。「やまがわ」という読みが重要 で、「やまかわ」と読むと「山と川」という意味になる。
【しがらみ】
「柵」と書いて「しがらみ」と読む。川の流れを堰き止めるために、川の中に杭を打って竹を横に張ったものです。ここでは「風がしがらみを掛けた」とあるので、風を人のように扱う擬人法を用いている。
【流れもあへぬ】
流れようとしても流れきれない、という意味。「あへぬ」は、「あふ」の打消し形で「~しきれない」の意味。
【紅葉なりけり】
「紅葉なりけり」の「けり」は、今気づいた、という感動を示す。またこの歌は、紅葉を柵(しがらみ)に「見立て」ている。
鑑賞
山の中の川を見ると、たくさんの落ち葉が集まって流れを堰き止める柵ができている。
紅葉の美しい情景が目に浮かぶ美しい歌である。